2014年12月15日月曜日

海月姫(2014年)


海月姫

テレビアニメにもなった東村アキコの同名コミックを、能年玲奈主演で映画化した青春ドラマ。男子禁制の共同アパートのオタクな住人たちと、1人を除いて自分が男であることを隠して同アパートに入り浸る女装男子とのおかしな恋や友情を描く。「仮面ライダーW」で人気となった菅田将暉が、素性を隠し友情を育む女装男子を演じる。(以上、Movie Walker

とりあえず、
「また少女マンガ原作?」「あ?ガールズムービー?」
「はいはい。こじらせ女子ね。」「能年玲奈はあまちゃんだけだね。」
って言ってる人に騙されたと思って観ていただきたい!

いやはや、おもしろい。

正直まったく期待していなかった。
マンガはぶっちゃけ途中で挫折しました。

なのに、本当に泣けた。かなり刺さってしまった。


萌えすぎる役者陣

能年ちゃんのオタク⇔ナチュラルかわいい(脱・あまちゃんできたっしょ!)
菅田くんの美人⇔かっこいい(なんだ、このかわいさたるや! 美しさたるや!)
太田莉菜のひどすぎるオタククオリティ⇔持ち前のスタイル(このキャスティングは、最後のカタルシスのひとつ)
と、なんか本来の姿と役者さんの両面が生きたキャスティングがすばらしい!

その他、長谷川博己も片瀬那奈も、もこみちさえも。
この映画観てみんな好きになってた。いとおしくなる。

きらいな自分は変えられる

「好きなものは最強の武器」ということで、
自分たちの好きなもの(オタク魂)で自分の殻から脱する。
まあ、いわば、流行のレリゴーですよ。

ありのままの自分を偽ることなく、
世界は変えられるんだってことをオタクさんたちが証明してくれて、
ありのままに号泣してしまったという訳であります。


ここでも重要なのが、菅田くんの存在。
逆ファムファタール的な存在がいたことが、個人的にはすごくしっくりきた。

お姫様には王子様が必要ですもん。
それが、また女装をした王子様っていうところが、
素直におとぎ話を受け入れられない女の琴線に触れたというわけであります。

お姫様には王子様が必要なんだよぉぉぉぉぉ(号泣)。
(『アナ雪』や『マレフィセント』といい、なんだかディズニーはここのところ王子様を必要としない感じだけど…)


要するに「女の子は誰でもお姫様になれる。」という、よくあるおとぎ話。

オタクという自我をこじらせた人たちと、
女装(これもある意味、過去をこじらせてるんだけど)した王子様という
ほんのちょっとのひねりが加わったことで、
普段は「おとぎ話なんて」と吐き捨てるほどにガチガチに凝り固まった
わたくしめのこじらせハートの隙間を突く結果になったのであります!


ゴーン・ガール(2014年)


ゴーン・ガール

「セブン」「ソーシャル・ネットワーク」の鬼才デビッド・フィンチャー監督が、ギリアン・フリンの全米ベストセラー小説を映画化。「アルゴ」のベン・アフレックを主演に、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリスらが共演。幸福な夫婦生活を送っていたニックとエイミー。しかし、結婚5周年の記念日にエイミーが失踪し、自宅のキッチンから大量の血痕が発見される。警察はアリバイが不自然なニックに疑いをかけ捜査を進めるが、メディアが事件を取り上げたことで、ニックは全米から疑いの目を向けられることとなる。音楽を、「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴン・タトゥーの女」でもタッグを組んだインダストリアルバンド「ナイン・インチ・ネイルズ」のトレント・レズナーと、同バンドのプロデューサーでもあるアティカス・ロスが共同で担当。(以上、映画.com


これを見たあと、“結婚”って何なんだと思う人は多いんじゃないのかな。
メディアが「楽しい!美しい!幸せ!」と騒ぎ立ててる“結婚”だけど、本当にそうなのか?
少なくとも私はそう思わされた。

そんなわけで、“結婚”に夢見る人(特に男性)の後味の悪さを想像するといたたまれない。


あまり内容を言ってしまうとおもしろくなくなるから言わないけど、
今回もフィンチャーにもてあそばれるように、騙され続ける。

でも、今回は「やられたー!」っていうよりは、
どんどんなんかこういう現実ある気がすると思えてきて、
ひつこいまでの裏切りの応酬に、終いにはなんか笑えてきた。

これぞ、ブラックバラエティ!

「結婚相手のことを本当の姿」
「メディアに報じられている情報」
どれもこれも、疑いつつも見てみないフリ、わからないフリをして適当に流している部分。

だって、わかったところで、その真実が幸せかどうか分からないもん。

結婚も同じ。
「結婚したから幸せ」だとは限らない。
じゃあ、そんな相手とは「別れれば幸せ」ともわからない。

では、何が幸せか?
それもわからないんだけど。

何もかもわかりあえればそれで幸せ♥
結婚こそが幸せの最終形態♥

そんな市場に反吐がでるほどうんざりしていた私だから、最後笑えてきたのかもしれない。
心の中で「ざまぁーーーーーーーーーー!!」と手を叩いて笑ってました。

どうしようもないダメ夫のニックの結末にでもなく、
もちろんエイミーにでもなく、
なんだか、今までむしゃくしゃしていたあらゆるものに対して。
「これがお前らが求めている幸せですか?」と。


結婚に夢見る方は見ない方がいいんじゃないかと。
これを見て、「こんなのフィクションじゃん!結婚は素晴らしいよ!」なんて言ってたらそれはそれで、痛い。あるい意味すごいけど。


「本当に大切なものは いつも失って初めて分かる」
このコピー、観終わって冷静に考えるとぞくっとする。


この映画をハッピーエンドと観るのか、バッドエンドと観るのか。
私はコメディとして観ました。

日本市場に流布する“結婚礼賛”に一矢を報いるかのような映画。


それにしてもベン・アフレックのぼやっとした夫いいわ。いい感じに超ダメ男。

さて、なにが幸せなんだろうね? “結婚”すか? “真実”すか?

2014年11月10日月曜日

まほろ駅前狂騒曲(2014年)


まほろ駅前狂騒曲

三浦しをんの同名ベストセラーを瑛太&松田龍平主演で映画化した「まほろ駅前多田便利軒」、その続編として製作されたテレビドラマ「まほろ駅前多田番外地」に続くシリーズ第3弾。まほろ市で小さな便利屋を営む多田啓介のもとに、変わり者の同級生・行天春彦が転がり込んできてから3年目。多田は行天の元妻から、行天さえも会ったことがない彼の実娘はるの子守りを依頼されてしまう。一方、まほろ市の裏番長・星からは、新興宗教団体を前身とする謎の野菜販売集団の極秘調査を押しつけられる。かつてない厄介な依頼に悪戦苦闘するなか、バスジャック事件にまで巻きこまれてしまい……。監督は「まほろ駅前多田便利軒」も手がけた大森立嗣が続投し、キャストにも高良健吾、真木よう子、本上まなみ、大森南朋ほか映画版やテレビ版でおなじみの顔ぶれが再結集。さらに、行天の過去の秘密を知る謎の男役で永瀬正敏が登場。(以上、映画.com


これはもう、まほろファンじゃなくても楽しめるエンターテインメントですな。
さらに、まほろを映画→ドラマと追って来た人たちは、集大成! と感慨深い。


ストーリーはいつになく盛りだくさんで、しかも繋がりがある。
(映画第一弾は短編をまとめた感じだし、連ドラもエピソードごと)

映画第一弾のゆるっとした空気と、ふたりが持つ“暗い”の部分。
ドラマのてんやわんやな部分と、ハードボイルドな部分。
それがいい感じでミックスされている。


行天も多田も今回は、大活躍でかっこいいし、
ふたりの過去とか“暗い”部分、隠されている部分も垣間見える。

だけど、あくまでもまほろの空気は壊れない。
“まほろ”の日常の一部に、今回のできごともあったという感じが一貫されていてよかった。


かっこいいんだよ。
まじめな部分もあるし、ハードな部分もあるし。

でも、あくまでも行天は行天、多田は多田。


それがいいよね。

どんなことがあっても、最後は多田便利軒の日常に戻る。
そういう安心感が、“まほろ”には大事なんです!




フォレスト・ガンプ/一期一会



フォレスト・ガンプ/一期一会

頭は少し弱いが、誰にも負けない俊足と清らかな心をもった男フォレスト・ガンプの数奇な人生を、アメリカ現代史と重ねて描き出していくヒューマンドラマ。
監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキス。主演にトム・ハンクス。知能指数が人よりも劣っていたが、母親に普通の子どもと同じように育てられたフォレスト・ガンプは、小学校で優しく美しい少女ジェニーと運命的な出会いを果たす。俊足を買われてアメフト選手として入学した大学ではスター選手として活躍。卒業後は軍隊に入り、ベトナム戦争で仲間を救って勲章をもらい、除隊後はエビ漁を始めて大成功を収める。しかし、幼い頃から思い続けているジェニーとは再会と別れを繰り返し……。第67回アカデミー賞で作品賞ほか6部門を受賞。ハンクスは前年の「フィラデルフィア」に続き2年連続で主演男優賞を受賞した。(以上、映画.comより)


「今、目の前にあるものに対して、ただただ一生懸命取り組む」
そんな感じのお話だった。

(ちょうどNHKでやってた嵐のドキュメンタリーで、大野君が同じようなことを言っていたというエピソードがあって、それに感銘を受けたせいも否めないけど。)



とにかく出会う人、起きたことに、ただまっすぐに向き合う
フォレスト・ガンプの姿は、ごちゃごちゃ考えるばかりの自分には突き刺さった。

フォレスト・ガンプのまわりの人たちも、そんな姿に動かされたんだろうね。



自分の力の及ばない何かに、流され流される展開は『LIFE!』(2013年)にも通じるところがあると感じた。
主人公が主体的に、動くっていうよりは、あれよあれよって感じとか。

個人的には、フォレスト・ガンプの方が、俄然好き!!



動こうとして、一歩踏み出すなんて、正直そうそうないし、できないし、やらないし。
でも、目の前にあるものに対して真摯に向き合う。
自分の壁を壊そうとか、一歩踏み出そうとか、そんな欲ものなく、
来たから、打ち返す。それこそ、ピンポン玉のように。

そういう姿勢が、ちょっとずつ知らない世界に繋がっているんだろうな。




まっすぐすぎて、クスッと笑える。
なかなかいい笑い。


ベンチでおばあちゃんが、「あなたの語りがうまいから」って言うけど、
うまいよねーまじで。
心地いい語りだよねー。



2014年8月19日火曜日

スクール・オブ・ロック (2003年)




スクール・オブ・ロック

出演:ジャック・ブラック、監督:リチャード・リンクレイター。

ミュージシャンでもあるジャック・ブラックが破天荒なロッカー教師を演じるコメディータッチの人間ドラマ。名門小学校にそぐわないニセ教師と小学生たちがロックを通じて交流を深める、笑いと風刺、感動、そして涙ありの作品。監督に「オースティン映画協会」の設立者であり『恋人までの距離』のリチャード・リンクレイター。脚本は本作で友人役を演じるマイク・ホワイト。実際に楽器を演奏している子役たちの演奏の巧さもにも注目だが、ジャック・ブラック演じるユニークなロックン・ロール教師からは目が離せない!(以上、Yahoo!映画


はい、めっちゃ好きです!

物語時代はGTO的なよくあるスクールもの。
優秀な学校に、ダメダメ教師がきて、いろいろあって心を通わせるというもの。



だから、安心して観れるのもあるんだけど、
そんなにのんびりへらへら観れる映画ではないかな。

いい意味で。



終始かかっているロックのリズムに途中から、体が乗ってきちゃう!


デューイは本当にどうしようもない男だけど、
「ロックをやりたい」という思いだけはまっすぐで、むしろそれしかない。
そのためには手段は選ばないロックなやつ。


ちゃんと考えてか知らずか(考えてないだろうけど)、
生徒たちに役割を与えて、その役割の振り方がまた秀逸!

音楽とか楽器は全員が誰でもできるわけじゃないから、
普通のクラスの生徒がみんなでバンドやりました! だと、いまいち「はいはい…」という感じになりかねない。

でも、仕切りやならマネージメント、パソコンが得意ならプログラミング…
得意分野を活かせばいいわけだし、
見た目は地味だけど得意なものがあるなら、思い切って目立ってしまえばいい。
できるかわかんないけど、やりたい! でも、いいと思うし。

そのあたりのさじ加減がすごくよくて、気持ちよかった!




ラストはもちろんロック!
本当に最後の演奏はしびれた!

家でDVDで観ながら、本当にノリノリになってしまった。
めちゃくちゃスカッとした!ロックだな!


SCHOOL OF ROCK=ロックの学校
生徒たちにも、観ている人にも色んなことを教えてくれる映画。

Let's ROCK!

アポロ13(1995年)


アポロ13

主演:トム・ハンクス、監督:ロン・ハワード。

どんな困難な危機であっても、人類の英知の前に不可能がない事を知らしめた、あまりにもドラマティックな実話を遂にハリウッドが映画化。1970年4月、月へ向けて打ち上げられたアポロ13号に爆発事故が発生。その絶望的な状況の中、ヒューストン管制センターでは3人の乗組員を無事地球に帰すため、必死の救出作戦が展開されていた…。(以上、Yahoo!映画


宇宙博、TenQ、現代美術館 ミッション[宇宙×芸術]と、宇宙づいている夏だったので、
その流れで鑑賞。


3つの展覧会を見て思ったけど、宇宙とざっくり言っても幅広いわけで(幅広すぎる!)、
宇宙開発とその技術、宇宙開発の歴史、天体などの宇宙そのもの、天体と言っても地球からの観測と宇宙からのもあるわけだし。

アポロ13』は技術かな。
もちろん実話ということで、歴史でもあるんだろうけど。



なにがおもしろいって、数人(アポロ13号では3人)が宇宙に行くために、
そして帰ってくるために、何百人の人が関わっているということ。

その何百人の中には、宇宙に行きたかったけど行けなかった人もいれば、
見守ることしかできない人もいる。

でも、地球を飛び立った宇宙飛行士をみんなが帰ってくることを待っている。



なんとなく頭では理解していたけれど、「行った」ものが「帰ってくる」ということがいかに重要か。
そして、宇宙に「行って」そして、「帰ってくる」ことが、いかに大変かということを思い知った。

なにより「帰ってくる」ことを待ち、全力で奮闘している人たちがいること!



個人的にはケンがすごくよかった。
宇宙へ行けなかったことで、くさってたけど、彼にしかできない仕事をした。

宇宙へは宇宙飛行士だけが行くんじゃなくて、もっともっと大勢の人が行くんだね。




で、やっぱり過去の事故とかもあったり、逆に過去に成功したからと飽きられたりあるけど、
「宇宙へ行って帰ってくる」それがくれるものの大きさといったらはかりしれないものがあるなと。



宇宙博やらいろいろ見て、一番の感想は
「宇宙もすごいけど、よくわかってもいない宇宙に行こうとする人間がすごい」だった。

やっぱり、宇宙はよくわからないけど、
それを相手に奮闘している人間がすごいわ。

そんなに人間を本気にさせる宇宙はやっぱりどうしてもすごいんだ。




なんだか、暑苦しくも宇宙への思いを語ってしまったけど、
そういう今まで言葉にできなかった「すごい」部分を、しっくりとさせてくれたのが、
この『アポロ13』だったな。


あと、あの危機的状況でみんながそれぞれのポジションで機転を利かせて乗越える物語好きなんだよね。





2014年8月18日月曜日

思い出のマーニー(2014年)


思い出のマーニー
米林宏昌監督、声・高月彩良、有村架純。

イギリスの作家ジョーン・G・ロビンソンの児童文学「思い出のマーニー」(岩波少年文庫刊)を、スタジオジブリがアニメーション映画化。物語の舞台を北海道の美しい湿地帯に置き換え、心を閉ざした少女・杏奈が、金髪の少女マーニーと出会って秘密の友だちになり、体験するひと夏の不思議な出来事を描く。札幌に暮らす12歳の内気な少女・杏奈は、悪化するぜん息の療養のため、夏の間、田舎の海辺の村に暮らす親戚の家で生活することになる。しかし、過去のある出来事から心を閉ざしている杏奈は、村の同世代の子どもたちともうまくなじむことができない。そんなある日、村の人々が「湿っ地屋敷」と呼び、長らく誰も住んでいないという湿原の古い洋風のお屋敷で、杏奈は金髪の不思議な少女マーニーと出会い、秘密の友だちになるが……。(以上、映画.com



まず、あの予告映像はなんなんだろうね。
百合にしか見えないでしょ。

百合なら勘弁と、観るか観ないか悩んでいたところ、
友達に進められ、鑑賞。

同じく観るか悩んでいる人がいるならば、観ることをおすすめします!
できるなら、映画館で(なぜかは追々わかるかと…)



百合なの?問題については、百合かどうかって言ったら、
やっぱ百合っぽさは全然あると思う。
ネット上だと、百合じゃない!って声も多いけど。
ベタベタした女同士の友情が百合かどうかってのは、それぞれの友情観にもよるしね。

個人的には「百合ではなくはない」って感じ。



っていうか、大事なのは、百合かどうかではないんだよね。
そこじゃないの。



前半9割、退屈でした。
なんなの?だから、なんなの?とヤキモキするし、
登場人物だれにも共感できないし、
百合の先入観からか、そこはかとない気持ち悪さつきまとうし。


それでも、観ることを全力ですすめます!

残り1割で得ることのできる、カタルシスがとにかく素晴らしい!
残り1割で、退屈な9割がすべてスーッと消化される、あの気持ち良さといったら。

これが映画体験なんだなと、また新たな経験をした。


そう、9割退屈なので、DVDで観てしまえば、寝るか、やめるかしてしまう。(自分なら)
だから、映画館で観るべきで、最後まで観ないとわからないこの映画のよさを体験することができる。


共感できる、泣ける、笑える、人に言いたくなる…
どれも映画体験の醍醐味だけど、
「観ないとわからない」っていうのは、最大級の醍醐味なんじゃないかと。


映画についての論評とかレビューを読んでいて頻出す「カタルシス」という言葉。
はじめてその言葉の意味が分かったし、それでなければ言い表せられない感覚だった。


観るか迷ってるのであれば、間違いなく観るべき。(←ひつこいw)




観るか迷う原因はたぶん予告のせいなんだろな…。